竹の子・根曲り竹

イトウと岩魚2足のわらじ

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2016年7月4日に採取。今年の笹の子採りは5月11日から始まってもう三ヶ月が経過した時点でも夢中になって採っていた。もう7月か?と思っているうちに、もうそろそろ8月になるか?という知床を意識する季節を目前に自分に問うて、まだどうしてもと思うのなら今月いっぱいまで採れる場所はあるが、そうすると北斜面で遅くまで残雪が消えない暗い谷間を目指すしかなくなる。そこまでするとなれば登山道から長い距離を歩き日帰りでは採れなくなる・・・なればもうこれで最後にしようと気持ちに区切りを付け、これからお盆までの期間は翌年の為の下見を兼ねて方々見渡すことになるだろうか・・・

40Lの袋に四割ほど詰めた皮を剥いた根曲りタケノコ。採った時点では60Lザック満杯でデポ地点へ戻るのが大変だったが皮を剥くとこれくらいになる。採るのは3時間、皮むきが5時間、車で自宅へ戻るのが片道2時間。それから更に茹でて瓶詰めまでするとなれば翌日まで手間がかかる。タケノコ(根曲り竹)採りをして初めて気が付くのはスーパーで売られている価格、国内産一本がだいたい今が旬の季節で133円はする価値は一連の作業工程を経験して初めて理解できる。売れるかうれないか?ではなく時間と労力、水、ガス、電気といった光熱費を使う手間を要すれば売れようが捨てようが苦労し命がけで採った価値を落としてまで売れない訳なんですね!それは良いんですよ日本人的な感覚でね、因みに隣国産はかなり安値・・・特別美味しいものでもないし健康的に絶大な効果があるわけでもない。それでも皆さんは生死をかけて採りに行くんですね。この時もパトカー5台、消防3台からなる地元の方々らが遭難者救出の為に出動していた。その後どうなったか不明だが、でも自分でやってみるとよく判る・・・いつの時代も金融価値=金額と同等ではない価値を求めてきた人々が先祖にいて今も時代を越えて継承されているんだ?現代でも普通にやっている共通点が時代を越えても変わらないことに日本人観を共感してしまうタケノコ採りでした・・・

タケノコ採りをするポイントへ到着すると既に車が10台以上は道路沿いに駐車されている。登山道入り口の駐車場に設置されている看板にはこのように書かれてある。

多くの方々は高齢者、年齢にして60代が殆どの老女男で大音量の演歌なりを大型スピーカーで鳴らし、若しくは盗難装置ならぬ音を響かせたり、道から5mほど離れた藪の中で互いを確認しあう○×さん私しここよ〜!▽ちゃん俺はここだよ〜!・・・あっ?!あ〜それ凄〜い立派ねえ〜太くて?・・・

といったやり取りを道の傍らでタケノコの皮むきをしてながら聞いていると皆さんはたった道から僅か数メートル離れた区間を何度も折り返し掻き分け先行者が採り溢したものを採っているだけのようだった。こういう人?という言い方は誤解されないよう述べたいが一般的に社会ではとても優秀、有能な地位にある方々だと思います。それは金銭的に余裕がある生活を送りカネ=通貨=円を使えば問題を解決できてきたから簡単な装備でここへ来るわけです。でもここではカネは頼りになりません・・・笹薮の中へ一歩、1m踏み込むと文明が築いたインフラの尺度からすれば体感としては10mという距離感にあり、更に10m進めば1km〜∞大の位置に立っていることになります。道と名のつく所は登山道であっても道から反れて藪の中へ入ると丈が2mを超す笹の海原が視界を塞ぎ、空が曇っていれば太陽の位置すらわからない・・・地図を持たず何の情報を得ずに藪の中へ入るのだから遭難するのは避けられない。特に原野≠ニいった緩やかな起伏の地形では位置を特定するのは難しい・・・せっかく携帯GPSといった近代的アイテム価格も3万〜10万円あたりで売られているのだからカネで解決できることを命と引き換えにすことはないと思います。ただそれよりも一番の問題は体力の激しい消耗で例え位置と方角が分っていても飲料水、食料を最低限、持参しないとガス欠します。何せ究極の藪漕ぎをしているわけですから日本海側の北緯を上げるだけ笹は太く密集し採るのを夢中になるが体力の消耗も激しい・・・

携帯GPSガーミン社の便利な機能は電子コンパス゛≠ナす。文字で説明するのは難しいですが、携帯GPSを手に持って画面、ディスプレイに映し出される地形、等高線やポイント、軌跡が描かれているのは誰でも?見れば映っているのは理解できるが映像に映し出される自分の立ち位置、方角は何処を向いているかは5m〜15mほど移動を繰り返しGPSのディスプレイを眺めながら軌跡を見つめるしかない。そうなんですよ!GPSを手にとって自分がどちらの方角を向いているかは画像をみて自分が何処を向いているか?手に持つGPSで位置と方角を認識できなければ、ただ買って持っていっても役には立ちません。

ここは南斜面の頂上。標高を上げるにつれ笹が細くなり背丈が低くなって新芽も伸びて時期が遅い。この時はタケノコ採りというよりただの登山でした。標高は低いんですが陽当たりが良い頂上付近は高度を上げようが下げようが芽を伸ばしている。